世間ではハロウィンの真っただ中、一泊旅行帰りに、よもやのアクシデントが発生した。
作業所へ帰宅途中の高速道路で、異様な音と振動がバスの車内に轟いた。「ガガガガギギー」その途端、バスが急に減速をし出した。
明らかに緊急事態ではあるが、幸いにもサービスエリア付近の出来事であった為、スローながらも無事パーキングに停車することができた。しかし、これからが長丁場だった。
ギアトラブルで完全にバスが沈黙したのだ。最新のバスであったが、走行中にエンジンの回転数が異常に高く表示された為、運転手はギアを低速に落とすと、それ以降、ギアが入らなくなったそうだ。
当初、2時間待ちで代替バスを用意する予定であったが一抹の不安がよぎる。利用者の皆は待つことができるのだろうか、大幅に予定を変更せざるを得ない状況で、はたして皆は理解してくれるのだろうか、今後の対応を思案中、運転手からの一報が入った。今回の旅行は27名定員のバスと8名定員の送迎車を利用して合計29名の参加者であった。けれども現場に向かっているバスは21名定員だそうだ。
即断即決しかない、送迎車に8名乗らないと全員が帰れない。待つことが苦手な人や不安定になりやすい人を中心に送迎車で、先に作業所へ帰宅してもらった。残った利用者には不安を与えないよう、努めて明るく落ち着いて対応したが、不平不満を言わず、辛抱してバスの車内で待機していた利用者の皆には本当に感謝したい。
トラブルが発生してから約1時間半で代替バスが到着し、無事作業所へ到着できた。ホッと一息つく間もなくバタバタと帰宅の送迎に追われ、疲労困憊で一日がなんとか終了した。これで終わりと思った。いや終わるべきであった。
しかし、まだ続きがあったのだ、最後の最後に自分の財布を代替バスに忘れてきたことが分かった。実に情けなかった。疲れがどっと押し寄せた。お菓子を与えなかったから、いたずらされたとそう思いたい一日であった。